2015年10月22日木曜日

調書に注意

こんにちは
最近、M&A絡みのご相談に対応することが増えています。
先日、M&Aの売り情報を買い手候補に持ち込みました。
売り手企業は、事業が行き詰っており出口を模索しています。
買い手候補はこれまでにも複数の企業買収の実績があります。

買い手候補のこれまでの企業買収は、上手くいっているように見えました。
しかしながら、買収直後には様々な問題に直面したそうです。
詳細は書けませんが、聞くと驚くようなことの連続。ポストM&Aの重要性がよくわかりました。

その買い手候補がおっしゃるには、「売り手は、何かしら上手くいかなくなっているので売却という選択をする。何も不満なく事業が回っていれば、売るという選択はしない。M&Aの売り案件には、必ず何らかの問題がある。」とのこと。
M&Aの本質を突くお言葉です。

売り案件の良し悪しを財務内容や事業環境だけでは判断してはならないということがよく分かりました。
たとえ財務内容が痛んでなくても、別のところに問題があるのです。
M&Aとはそのようなものと理解して取り組んでいかねばならないと、大変勉強になりました。


さて、昨日の日経新聞に「海外に財産5,000万円超 8,100人提出 総額3.1兆円」という記事が掲載されていました。
国税庁が、海外に5,000万円超の財産を持つ人に昨年から報告が義務付けられた「国外財産調書」の提出状況を発表したそうです。国外財産調書提出制度スタートから2年目となる2014年分の提出者は、前年比47%増の8,184人だったそうです。資産の総額は、3兆1,150億円で23%増えたそうです。
財産の種類別では「有価証券」が1兆6,845億円で全体の54.1%、「預貯金」が5,410億円で全体の17.3%、「建物」が2,841億円で全体の9.1%だったそうです。
提出者のうち、東京、大阪、名古屋の3国税局管内の居住者は計7,068人で、資産の総額は2兆8,786億円。いずれも全国の約9割を占めます。

かなりの海外財産があるということが分かります。
また、富裕層が東京、大阪、名古屋に集中しているということも分かります。

調書未提出の対象者もまだまだ多く、海外財産の総額はもっと大きいと思われます。
地方の富裕層には、調書提出について意識が薄いケースもあるかも知れません。

今年から、国外財産調書の故意の不提出や虚偽記載には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
記事によれば、国税庁は「全ての対象者が提出したとは考えていない。制度の周知を通じ、調書提出を働きかけたい」とのことです。

この国外財産調書について、某プライベートバンクでは、口座開設者に対して調書提出をする旨の誓約書を銀行に提出するよう要請したそうです。
その誓約書にサインをしない口座開設者に対しては、口座をクローズするという対応を行ったそうです。この対応により、いくつかの口座はクローズされたのだとか…。
そんな噂があります。


国外に財産を持たない富裕層にも気になる改正が待っています。
財産債務調書の提出です。
これは、今まで財産債務明細書の提出を求められていたものが、平成27年分確定申告から財産債務調書の提出義務に改正されるものです。

財産債務明細書の提出は、年間所得2,000万円超の納税者に義務付けられていました。
財産債務調書の提出は、年間所得2,000万円超かつ保有資産3億円以上又は保有有価証券1億円以上の納税者に義務付けられます。
保有資産要件が加わり、旧制度より対象者が限定されたように見えます。
財産債務明細書では、罰則規定がありませんでしたが、財産債務調書では罰則規定が設けられました。

意外と知られていないのは、課税庁側に「質問検査権」が与えられることです。
質問検査権が与えられるということは、要は、この財産債務調書を発端として所得税の税務調査に発展する可能性があるということです。

これまで、所得税の税務調査は、総頻度の多いものではありませんでした。
国外財産調書や財産債務調書の提出義務化により、課税庁側による個人財産の把握が進んでいきます。
同時に、富裕層は所得税調査を受ける確率が高くなることを意識しておかねばなりません。
相続税調査については言うまでもありません。
今まで以上に税務調査を受けることを前提としたタックスプランニングの検討が重要になっていきますね。

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