2017年7月27日木曜日

会社分割 人の移動は慎重に

こんにちは(^o^)/
2017年7月22日の日経新聞に「不動産マネー 世界で加熱」という記事が掲載されていました。

記事によれば、世界の不動産市場にファンドマネーの流入が加速しており、不動産やインフラを投資対象とするファンドは2017年上期に過去最高ペースの875億ドル(約10兆円)を調達したそうです。

記事では日本の不動産マーケットの加熱を伝える内容もありました。
4月に開業した「ギンザシックス」の一部を区分所有で保有していたヒューリックが、施設開業から2ヶ月後の6月末に区分所有権を売却したとのこと。
ヒューリックが売却したのは、ギンザシックス8階のオフィスフロア部分で、テナントは埋まっていなかったそうです。
当該物件の売却価格は、200億円強。ヒューリックは、80億円前後の売却益を得たようです。

さらに記事によれば、4月に香港ファンドのがガウキャピタルが、横浜の「みなとみらいセンタービル」を約800億円で取得したそうです。今年上半期の日本の不動産取引で最大案件だそうです。
ガウキャピタルにとって「みなとみらいセンタービル」の投資利回りは3%前後とのこと。リーマンショック前の横浜市中心部の大型オフィスビルの利回りは5%台前半であったため、リーマンショック前よりも利回りが下がってきたことになります。

世界的な低金利が根本的な原因のようですが、行き過ぎのサインでしょうか…?
物価上昇が実現し、賃料上昇が実現すれば、それなりの利回りに戻って過熱感は薄まるでしょうか…?


さて、組織再編のお手伝いをすることも増えてきています。
進行中の会社分割案件で、従業員の移動を細かく検討しなければならない案件が出てきました。
これまでの会社分割案件は、従業員の移動が伴わないものや従業員の移動があったとしても会社が従業員との紛争に発展するリスクが極めて低いと考えられる案件でした。
この案件は、弁護士、社会保険労務士も交えて、従業員の理解が得られるよう、また、手続き上の不備もないように進めていくことになりました。

このようななか、2017年7月10日の日経新聞に「会社分割 労働紛争を防ぐ」という興味深い記事が掲載されていました。
2001年施行の改正商法で導入された会社分割は、分割される事業に主に従事している労働者を、分割承継会社に強制的に移す機能があります。
同時に労働契約承継法も施行され、同法は、会社分割があっても労働契約や労働条件がそのまま承継されることを規定しています。
両方は、分割時の労働者保護手続きも明示。労働契約承継法7条は全労働者の理解と協力を得るための「努力」(7条措置)を企業に課しています。
会社分割導入時の改正商法付則5条も分割労働者への正式通知前に、個別の「協議」(5条協議)をする義務を課しています。「協議」すれば同意までは必要とされていません。

記事によれば、今年3月にエイボン・プロダクツの会社分割絡みの判決があったそうです。
エイボン・プロダクツが分割した子会社の社員となり、1年半後にその子会社が解散したため解雇された男性が親会社社員としての地位確認と賃金の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は、親会社に子会社解散後分の賃金支払いを命じたそうです。

エイボン・プロダクツの判決は、個別協議に併せ退職勧奨や原告を外部労働組合から脱退させる説得がされた点に注目し、「労働契約を承継されることに関する希望の聴取とは程遠く、法が求める趣旨に反する」としたそうです。
現在は控訴審が進むとのこと。

個別協議の重要性は、10年前の日本アイ・ビー・エム裁判の最高裁判例で既に確立しています。
記事によれば、この裁判は、会社分割で新会社に承継された従業員が承継無効の確認などを求めたもので、最高裁は請求を退ける一方、会社が分割に関して従業員との協議や説明を全くしなかった場合は承継は無効としたそうです。
ここで示されたのは、
①個別協議が全くない
②個別協議の内容が著しく不十分な場合
は、労働者は労働契約承継の効力を争えるという基準とのこと。
エイボン・プロダクツのケースは②に近いそうです。

厚生労働省は昨年9月、施行規則や指針を改正し、個別協議で話し合わねばならない内容に「分割会社や承継会社の債務履行の見込み」を加えたそうです。
立ちゆかない部門を安易に切り離す「泥船分割」の抑止策とのこと。

最近の会社分割では「理解と協力を得る努力(7条措置)」と「個別協議(5条協議)」が念入りになされているそうです。
「協議などでのやりとりの証拠を残すといい」と記事では勧められています。

会社分割というと、従業員の意向は関係ないと考えている方もいるようですが、無用なトラブルを防ぐためにも、分割後の事業成長のためにも従業員の理解が不可欠ということのようです。





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